midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

 「ALL EYES ON ME」を観る。

オール・アイズ・オン・ミー [DVD]

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 ヒップホップ聴き始めた15年以上前の高校生の頃には彼のことは知っていたし、何なら同タイトルのアルバムは持っていたんだが(借りパクされた)、そこまで彼自身のファンかと言うとそうでもなかった。それこそカート・コバーンのようなロックスターの一人として彼自身のラップよりは、生き急いでいるような刹那的な人生だったりカリスマ的なエピソードに惹かれていた部分が強くて、怠慢なリスナーだったことは否めない。好きな曲は「pain」とか「California love」とかみたいなメジャーどころ位しかなかったし。


2Pac - Pain feat. Big Stretch

きちんと音楽を噛みしめていないのに、例えばJoey Bada$$の「俺は2PACよりすげぇ」発言に対して「まぁ、技術的には超えてるかもね」みたいな識者の意見とか外野から聞いてるうちに、ラッパー単体としてはそんなに対したことないのかも、という見解になっていた昨今だったんだけど、この作品は観てみないとなと思って観てみた。字幕を丸屋九兵衛氏が担当していたり、彼自身がお勧めしていたりとある程度クオリティを担保された伝記映画だったこともあり。結果、かなり面白かった。「ストレイト・アウタ・コンプトン」級かも。

映画での描かれ方もあるけど、ホントに彼は俳優志向が強かったんだなというのは改めて思った。シェイクスピアが何度も引用されてるように、ティーンの頃の彼は真面目な文芸・演劇青年だったというイメージが印象的だった。キャリアの最初も詩の朗読みたいな場面から始まっているし、「thug life」感は全くない。映画内でも超怖いシュグ・ナイトからの独立を持ちかけたのも、俳優活動をがっちりやっていきたいという思いが描かれていたし、存命であればキャリアのどこかの段階で俳優メインにシフトしていたかもしれないという話はリアルだった。クインシー・ジョーンズ(娘と2PACが付きあっていたとは知らんかった)は2PACの訃報に際して「マルコムXが25歳で亡くなっていたら、唯のチンピラでしかなかったかも知れない」と言って惜しんだそうだが、若すぎて評価がしづらいというのはあるのかも。とはいえ、晩年の彼は死期を悟っていたかのようにとにかく多作で、ラップをそこまで練りこまずにガンガン録って出ししていたので、ラッパーとしての仕事を評価されているのだが。

あとの見どころとしては、勿論だが伝説的な曲とその制作秘話的なエピソードがてんこ盛りなので、ガチファンからすればかなり楽しめるんじゃないかと思う。お馴染の実在の人物のそっくりさん俳優を観るのも楽しい。個人的にはスヌープがかなり似てると思った。声が特に。