midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

 「ブラックジャック創作秘話」を読む。

 去年からめっちゃ大好きな吉本浩二作品。本作も、当時の関係者による緻密な取材を基に構成した手塚治虫の熱い創作現場に迫る作品。著者の泥臭くも実直な筆致で、感涙物の創作秘話を味わえる。アシスタント・編集者・雑誌社・家族等、多数の立場の貴重な証言を基に、劇画全盛時代の80年前後に始めたブラックジャックという作品を背景に、彼の死までの創作話を緻密に追う。

ホントに、個人的に自分が転職活動中であったこともあり、「仕事とは?」とか「どう生きるか?」みたいな問いに頑張って考えていた時期だったけど、手塚治虫の常人離れした仕事量と発想・貪欲・好奇心・実現力は今後も参考にしていきたいと思った。勿論、今の自分の仕事量なんて彼に比べたら屁みたいなものなんだが、命削って妥協も許さず金にもならない仕事をこなす姿なんて、ほとんど誰にもマネできない領域に間違いない。彼の仕事エピソードを読んでいて思い出したのは、何よりprinceだった。天才・多作(作風の幅が広すぎ)・我がままで奇人というざっくりした共通点は何より、何より残念な短命であるということもそう。一緒に仕事をした人への影響は元より、孫弟子とか色んな形で彼らの表現に対するDNAが広まっていることも共通してて。

手塚氏が自分と同年齢の時の活動量と比べて、遥かに足りない。もっと貪欲に生きて、社会にインパクトを残したいと思える作品。