midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「DESIGN IS DEAD(?) デザイン イズ デッド?」を読む。

あんまり事前知識はなかったけど、著者の幅允孝(読み方が超分かり辛い)氏が下北沢のB&Bとかで講演してたり、隈研吾的な新進気鋭のデザイナー建築家なのかなと思って興味を持って読んでみた。さすが本のデザインをやっているだけあって装丁はかなり凝ったものだったけれど、内容は小手先のデザイン論やギョーカイへの批評(愚痴)に留まらない、社会全体の問題解決の手法としてのデザインの在り方を問う意識高い著書だった。製作を志す・従事するデザイナーだけでなく、社会学を学んだ人間や政治・NPONGO活動に興味ある人とか色々と気づきがある一冊だと思う。内容はほとんど、現代日本の「デザイン」という言葉に関する職種が抱える問題について色んな識者が解決方法を模索してるというようなもの。ホットな話題として、1964年の東京オリンピックのデザイン周りの状況と今日の2020年パクリエンブレム問題とかについても色んな角度から関係者が意見を述べており、どういう事象なのか整理できる。特に、スペックワークというタダ働き問題は自分の属するIT業界でも通じるし、ぜひとも正していかなければいけないなと思った。

本書を読んで、高校生くらいの時に胡散臭いと思って嫌っていた伊勢谷友介の「Rebirth Project」とかもいい試みやってるなぁと感心してしまった。当時はディープエコロジストと言ってもいいくらいピュアで人間嫌いだったけど、資本主義の中で最大限エシカルな試みをしている人なんだなぁと思った。そして、デザインに関する仕事に従事していない人(自分も含め)のデザイナーに関する下請け意識に始まる無茶ぶりや、あり得ない仕様変更で現場が苦しんでいる姿など、色々とためになった。