midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

水道橋博士「芸人春秋」を読む。

藝人春秋

藝人春秋

話題の一冊。読んでみて、博士と吉田豪のツボが似てるってのがすごく納得できた。イタい人、虚言癖がある人、強い人、理屈に合わない人、それでいてパワーがある人、要するに面白い人に対する愛が強い。自分は芸能人というより、芸能界を覗いてる人という感じの目線が出ている。もちろん博士自身も芸人なので、体を張り、色んな大立ち回りを見せるんだけど(番組収録中の貴闘力との一触即発のやりとりは読んでいて痺れた)、彼は恐らく自分を「向こう側の人」と思わず、「向こう側の人」をつぶさに観察している。

意外だったのはそのまんま東かな。知事になる前は「たけし軍団のひと」くらいの印象しかなかったけど、謹慎だらけでこんな破天荒な人だとは思わなかった。マラソンを始めれば3時間前後のタイムを叩き出し、勉強を始めれば早稲田に入りその後院生になり知事にもなり…とどこに向かってくかわかんないけど、向かいだしたら恐ろしい程パワーのある人だ。

博士自身の文章もすごく巧みだ。全体的に「○○ならぬ○○」的なオヤジギャグっぽい言い回しが多いけど、文章にリズムを作って面白く読める。特に、古舘伊知郎についてまとめた回の、まさに古舘節で綴る文章が面白かった。冗長で過剰な比喩を多用し、唾を飛ばしながらまくしたてるような文体がすごくリアルだ。また著作があれば読んでみたい。