「girl code」を読む。
面白かった。NYを舞台に日常に色々な不満を持っていた普通の女子高生の人生がプログラミングを通して変わったという実話小説。
青春小説らしい成長記録であり、少しでもコードを書いたことがある人であれば通ってきた道を思い出されるような思考過程が丁寧に紹介されていたり、いまだに社会の空気として女性であることを素直に表明できないことに対する主張でもある。要所に実際に彼女たちが書いたコードが紹介されており、参考にもなる。
主人公二人の日記みたいな文体で進むので、全く肩肘はらず爽快に読めるのがまず良い。日常で飲み食いしているジャンクなものだったり、やや過剰に思えるような表現だったり、SNSでバズった動画を比喩に使ってみたり。それでいて、期限の中で自分達が作りたいものをどうやって表現できるだろうと四苦八苦する。
個人的にすごく面白かったのが、最終的に作るゲームの「主人公がジャンプする」というコードがうまくいかないというもの。当初はこんなん楽勝でしょ、とコードを書いたものの全く動かず、相方がスラスラと別のコードを書いているというプレッシャーの中で、丸一日悩んでコードを書くこと自体が嫌いになったくらいで家に帰ろうとする自転車に乗るときにふと「あれ?こう書けばいいんじゃね?」と気づくという。こういう経験を何度も積み重ねてきた思い出があるので、リアルすぎて笑ってしまった。
実際に作ったゲームはApple storeで現在も販売されており、ゲームとしては非常にシンプルながら、きちんと主張を楽しみつつ楽しめるので試してみるのは良いと思う。