midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

 「恋は雨上がりのように」を読む。

 映画は確かに良かったのだが、若干嘘くささを纏っていたのは否めないかなと思ったのと、原作と映画は別物というレビューを読んだので、読んでみた。

確かに面白かったし、映画版で省略されてしまったキャラクターの微妙な感情な機微は原作の漫画版で、電通案件的な話題性から離れて、おしゃれにならずにしっとりと描かれている感じはした。ただ、少し中途半端感も感じたかも。

何より、人間と人間が織りなす「肉欲」を正面から描くことが出来なかったのはちょっと寂しい。結果として良くも悪くも淡泊な味わいになった。作中で肉欲に関する描写は少なからず表現されたし、肉欲以外で「昇華」する表現はあったのだが、昇華度に対する反映度が作中から読み取れなかったのもちょっと寂しかったかも。勝手な思いとしては、お互いの知覚を通してお互いの表現に影響を与える描写まであれば嬉しいな、とは思った。「恋を通じて競技成績や詩作能力が上がった!」みたいな分かりやすさは勿論ないんだけど、お互いのお互いに対する影響度が少し薄く感じられたというか。