midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「勉強の哲学 来たるべきバカのために」を読む。

去年出て東大生にめちゃ評判だったという、勉強論についてまとめた本。いわゆる勉強メソッドについてはほとんど終わりの方でしか触れないので、ハウトゥを求めて本書を読むと肩透かしを食うかも。自分の経験と照らし合わせてもかなり納得感ある内容で面白かった。筋トレと勉強を「自己破壊して成長する」という点で接続する辺りは感動した。

一般書ではあるけれど、内容はかなり論文調で丁寧に論じられており、「勉強ができるようになるためには、変身が必要だ。勉強とは、かつての自分を失うことである。深い勉強とは、恐るべき変身に身を投じることであり、それは恐るべき快楽に身を浸すことである。そして何か新しい生き方を求めるときが、勉強に取り組む最高のチャンスとなる。」という紹介フレーズに誤りはない。ただ、その過程をきちんと言葉の意味を定義しながら読者を誘導する。背景にあるのはソシュールヴィトゲンシュタイン言語哲学ドゥルーズロラン・バルトなどのフランス現代思想だが、あまり難解な言い回しはせず、その思考のエッセンスをかみ砕いて勉強するってこういうことだよね、という説明のみに終始していて無学でも全然読める。そして、きちんと専門知識のある人向けに補論として彼らの思考をどのように料理したかを紹介しており、一粒で2度おいしい内容となっている。

後、実践的な勉強メソッドについては「どの分野でもまずは入門書から読め」とか具体的なレベルで参考になるんだけど、お助けアプリ(outlinerとかevernote)の紹介があってかなり気になった。GTDメソッドを知った時もそうだったけど、今後自分の気になる人が使ってるアプリは積極的に取り入れて、彼らの思考のトレースをしていきたいと思う。

最後に関係ないけど、文体こそ柔らかいもののかなりきちんと哲学の素養を身につけた構築的な文章から受ける印象が、以前から著者自身に抱いていた「何かネトウヨに詳しくてよく論争してる人」みたいな印象と合わないなぁと思ったら古谷経衡と混同してることに気づいた。見た目似すぎだろ…