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webエンジニアのメモ

 年末からずっと停滞していたがやっと読了。

意味の深みへ: 東洋哲学の水位 (岩波文庫)

意味の深みへ: 東洋哲学の水位 (岩波文庫)

 

 いつかちゃんと井筒氏の本を読みたいと思っていたのだが、如何せん難しいのでなかなか手に取り辛くて今に至っていた。いざ今回読もうと思ったのはいつも楽しく聴いているコテンラジオのヤンヤンさんが日本語の文章の書き手として面白いと言っていたのがきっかけ。

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本書は井筒著作の中では比較的易しいとされているようだが、やはり読んでみるとなかなか難しかった。講演で話した内容を書き映した章は比較的話し言葉で理解しやすいが、特にデリダが井筒に宛てた文章についてはほとんど言葉の定義や、言葉の意味する射程についてずっと地団太している感じでかなり読むのがつらい。これを訳した丸山圭三郎氏も凄いと思う。

それでも西・東洋の哲学と言語に通じた著者の力量は凄い。この域に達するまでにどれほどのテクストを高い精度で読み、思考を巡らせたのか怖くなるほど。章によっては最初英語で書いたものを日本語訳したものもあるようだが、読んでて全く気付かない。これほど「コトバ」に通じてコトバと現象世界について論じてきた著者だからこそ、というか最初の章で、世界中で色んな人が交流するようになった現代、きちんと相互理解が出来るか、という問いに対してかなり懐疑的なことが面白かった。実利的で日常的な言葉の表層的な翻訳ではなく、コトバによって世界が規定されるという東洋の各種哲学の知見を基にすると世界の捉え方は確かに変わるよな、という説得力。

 

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