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webエンジニアのメモ

「決算書の9割は嘘である」を読む。

決算書の9割は嘘である (幻冬舎新書)

決算書の9割は嘘である (幻冬舎新書)

大村大二郎作品2回目。ちょっと前に職場の上司に会計知識ないことをバカにされてイラッと来たので読んでみた。ノルマを課され、脱税した企業から追徴税を取ることを史上の命題としていた(粉飾決算は逆に還付の恐れがあるから近寄らないようにしていた、というのも結構怖い)元国税調査官の経歴が生きた説明が面白い。上場してても同族企業の場合、利益を出すより節税する方が優先される、とか。そのために、まずは株主構成を読むべし!みたいな。だからこそ朝日新聞の場合、社員の持ち株が構成比で一番高いため、脱税の形式が経営者や役員の蓄財ではなく現場の社員の飲み食いのために行われるとかいうのもちょっと驚いた。一般管理費が減っている会社は人件費や福利厚生を削って捻出しているので景気が悪い、というのも企業を観る上での重要な尺度になる。損益計算書は「売上-経費+在庫=利益」が成り立つため、①売り上げの水増し②経費の隠蔽③在庫の水増し、が粉飾決算の基本であるということも勉強になった。あと、世間をにぎわせたライブドアの粉飾決済というのが実は「資本取引による利益」を「営業利益」として計上していた、という性質のもので、実際に利益は上がっており、ない売上をあるように見せるような粉飾に比べるとそれほど悪質なものではないということも知れた。

また、自分がもし将来独立したらというとこにも関連するが、日本の企業は7割が赤字であるという話も面白かった。要はそれだけ利益を出さず法人税を出さないように気を付けているという。特に飲食店では領収書を発行しないため、「売上を除外する脱税がしやすい」とかためになる。それを暴くために、税務調査官は最初客としてやってきて伝票を作成し、それが後で税務調査をした時に残ってるか、というような調査をするとか。脱税企業は役所に出す表帳簿の他に、高い確率で裏帳簿を作ってるとか。節税の上手い企業と脱税をする企業は全く税に対する知識が異なる(脱税するような企業は節税を普段から怠っている企業)、とか。