midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

ベイビーステップ」を読む。

いやー、たまげた。何しろ読んでからのここ2,3日この作品のことで自分内思考が止まらないのだ。多分今年度の自分の中の漫画ランキングはこの作品だし、スポーツマンガの金字塔であった「スラムダンク」や「H2」や「帯ギュ」や「柔道部物語」や「小日向海流」や「モンキーターン」辺りに匹敵する面白さ。正直言って連載中の本編を雑誌で幾度となく読んだことがあるのにその面白さに気づかず、(その時はテニプリの派生作品なのかなーみたいな安易なノリでいたけど)、なぜこれを今まで読んでいなかったか自分で不思議な位だし、これは後世に残すべき傑作。正直言って、多分スラムダンクよりも密度は濃いのだ。

主人公は生真面目で完璧主義で建設的な思考をする丸尾栄一郎(エーちゃん)なのだが、彼の試合中の嗜好の流れは万物に通用する戦略論と通じている。基本的に作中では彼よりも格上の選手と試合することが多く、いかに敵にとって不得意なテニスで、かつ自分にとって得意なテニスを展開する方法を確率論や統計を用いて分析し、試合中に「意味のある最大限」のリスクをテイクして勝ち進んでいくのだ。この志向の流れが万物に非常に緻密で、かつエンターテイメントとして最高峰の水準に収まっているのが恐ろしい。

正直言って、1話目の画風は「うわー、モロ少女漫画っぽい出だしだなー」と、ちょっと自分の中に拒否反応が出ていたが、3巻まで読んですぐに引きずり込まれ、現時点(2015年10月)で結局読める全巻を読んでしまった。無理やり例えるなら、主人公の急速度成長を愉しむという点では「ヒカルの碁」であり、「リアリティ溢れる試合の描写」はまさしく「スラムダンク」の山王戦であり、試合中の思考の描写は、毛色違いだが「念能力を使ったHUNTER&HUNTER」の頭脳戦に近い。これらの作品に少しでも惹かれた経験のある方にはぜひ読んでみて欲しいマンガだ。文句なくレコメンド。