midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「素敵な人生の終り方」を観る。

素敵な人生の終り方 [DVD]

素敵な人生の終り方 [DVD]

これはクソだった。ジャド・アパトー作品、正直言って外れの方が多い。著名な芸人が不治の病を宣告されるという話。主人公アダム・サンドラーはじめ、セス・ローゲンジョナ・ヒルなどアメリカのコメディ出身俳優が勢ぞろい。

なぜクソかというと、途中からあっさりと不治の病は治り、物語上のなんの緊張感もなくなること。例えば同じくセス・ローゲンも共演したジョゼフ・ゴードン=レヴィット主演の「50/50」は、余命いくばくなのに無理してナンパしようとしたり、今の彼女と別れたりするリアルさと切迫した手術が物語に大きなうねりをもたらしていたと思うけど、本作は違う。ある意味死ぬ死ぬ詐欺に近い。病が治ったことを伏せ、昔の彼女の家庭を壊してまで性欲を満たそうとする主人公に共感できる観客は少ないだろう。何とか協力しようとする後輩芸人の鏡のようなセス・ローゲンでさえ、アダム・サンドラーからの度重なる暴言と人格否定の言葉に観ているこちらが嫌な気分になる。病を通じてすら周囲の人間の大切さを何も学ぼうとしない、結果学ばなかった成功者の芸人のうすら寒さを味わいたい人にはお勧めかもしれない。

本作を観ていて興味深かったのが、アメリカの若手芸人の生活を垣間見れたこと。ルームシェアしながらある者は舞台に立つスタンダップコメディアンであり、ある者はドラマの作家を兼ねており、ある者は有名芸人のブレインにすら利用されるという。日本の若手芸人に見られる極貧さは感じられなかったが、やはり通じるものはあるのだなぁと感じた。