midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

 「shame」を見る。

SHAME−シェイム− (字幕版)

SHAME−シェイム− (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 スティーヴ・マックイーン監督を知ってからずっと観たかった作品。 マイケル・ファスベンダーキャリー・マリガンの主演で、いい仕事してる。NYの冬の夜を舞台に、すごく都会的で寒々しく美しい映像と何かを喪失した歪な兄妹の関係性が面白かったのだが、奥ゆかしすぎる…。

本作、喪失の理由がはっきりと描かれない。物語の序盤に妹が兄の家に転がり込んでくるとき、全裸を見られても全然平気な姿を見て、「え?アメリカの兄妹ってこんなオープンなの?」とか思ったのだが、後々この二人がおかしいということには気づいていく。二人とも一応仕事はしていてそれなりに生活する力はあるっぽいのだが、紙一重で生きていて共に性に関する感覚がおかしい。でも、あからさまな映像は元より、言動からもはっきりとした過去が描かれないんだよね。昔、「父、帰る」というタイトルでなぜ帰ってきたか最後まで不明という衝撃的なロシア映画があってよく覚えてるんだけど、若干その時の感触に近い。さすがにその映画よりは匂わせ方が強いので伝わるっちゃ伝わるけど。展開もちょっと強引でラストの事故に至るまでの伏線とか特にないし、事故にしても最悪の事態を逃れたというだけで、救いもなく二人にとっての成長が描かれない。この二人が今後どう生きていくのか読めない。

後、劇中のキャリー・マリガンの歌は憂いもあってチャーミングで良かった。一緒にいたら疲れそうだけど表情がくるくる変わって可愛らしい。