midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「うつくしい繭」を読む。

うつくしい繭

うつくしい繭

 

 SF小説と思って読んでみたが、それほどSF色は強くない。鮮やかな色や匂い風景描写が強烈なアジア各国(東ティモールラオス南インド等)を舞台にした不思議体験記という感じ。大きな筋書きや凝ったびっくりするような仕掛けはないが、文章はかなり上品で読み心地が良い。主人公が著者の部分的な分身なのだろうか、等身大の日本女性や若い女性というのもあって自分探求物語という感じもある。表題作もなかなか面白いんだが、個人的には冒頭の死者の声を耳に出来る少女の話が面白かった。幻想的な雰囲気と人間の卑しさがうまい具合に描かれていてなかなか世知辛い。