midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

ダフト・パンク テクノ・ファンクのプリンスたち」を読む。

自分にとってのダフパンとのファーストインパクトはアルバム「discovery」で、確か15歳くらいだったように思う。地元のレンタルCDショップでレンタルしてMDに焼いて、通学中によく聴いてたのは覚えてる。松本零士のMVも話題になっていたし、one more timeは曲は元より歌詞が大好きだったし、当時は知らなかったがRomanthonyがボーカルをやっていたりと、自分のその後の好みを形作る大きな一枚であったことは間違いない。大学に入ってからはDirector's labelのミシェル・ゴンドリーのビデオを友達と見るようになり、改めて彼らの仕掛けたマジックに色んな形で夢中になったし、近年ではGet Luckyのグラミーでのパフォーマンスに涙しそうになっていたことは否めない。ただ、なぜだろう、今までどことなくダフトパンクが大好きであることをおおっぴらに言うことに気恥ずかしさがあるのは。例えばchmical brothersだと、中学生の頃は好きだったけど今は微妙、と言い切れるのに対して、彼らは昔も今も変わらず(ほんとに音楽的な変化が少ない)好きなんだけど。余りにも巨大になりすぎたからだろうか。音楽経験値の少ない友人が絶賛している姿を見るからだろうか。「ダフト・パンクって超かっこいいよね!」と言われると、「うん、まぁね」位にしか返せる自身がないのだ。

ほとんど本書と関係ない話になってしまったが、本書はフランスの音楽オタクの二人の青年がバンドを始め、ギターをサンプラーシーケンサーに持ち替え、素顔を隠し、around the worldという金字塔のような曲を書いて成功し、音楽業界の頂点にまで上り詰める姿を描いた話である。

特に印象に残った部分としては、彼らが楽曲や世界観にSF的な意匠をちりばめ、顔を隠すという自己プロデュース能力だったり、親や身近に関係者がいたこともあって音楽ビジネスに長けていたこと。自分たちのやりたい活動があって、それを最大限自由にやらせてくれるレーベル選びや活動をし続けたことが成功の一因になっているというのは、彼らが影響を受けたシカゴハウスのシーンの先輩からしたら耳が痛い話だろう(当時から金銭トラブルや曲の無断リリースなど、関係者の関係性が非常に険悪)。そして、フランス国内の音楽シーンが彼ら以前の数十年間、それこそゲンズブールにまで遡らないといけないくらい世界の音楽マーケットから取り残されていたこと。これは音楽に興味を持ったのが初期に彼らを知ったので全然ピンと来なかったが、フィルターをかけたディスコやハウスに命名された「フレンチ・タッチ」をジャンルとして世界に輸出したことで国内の政治まで動かす力になっていたとは初めて知って痛快な話だった。日本におけるきゃりーぱみゅぱみゅやBABYMETAL的な「cawaii」文化のような感じだろうか。曲が面白いのは勿論知っていても、ミステリアスな彼らがどんなことを考えて活動してきたを知らないという人には良い本。

D