midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

ブロークン・フラワーズ」を観る。

ブロークンフラワーズ [DVD]

ブロークンフラワーズ [DVD]

ジム・ジャームッシュにしてはかなりポップな出来だと思う。コンピュータ関連の仕事で一山当てたプレイボーイが、20歳になる私の息子があなたを探しています、という匿名の手紙を受け取ったことをきっかけにかつての恋人たちを訪ねていく物語。主演はビル・マーレイで、かつての恋人役として豪華な女優さんが次々に出てくる。結局、物語中では核心についてはわからずじまいなんだけど、通り過ぎて行った「過去の人」と会い直すのってやっぱぎくしゃくして気まずいし、時は平等に確実に過ぎちゃうんだよなーと少しセンチメンタルな気持ちになる映画。

ただ、結構欠陥だと思うんだけど、ビル・マーレイがとてもじゃないけどプレイボーイに見えないんだよね。背が高くてそこそこハンサムでちゃんとした服を着たらそれなりの紳士に見えるけど、普段はなぜかいつもフレッドペリーのジャージ上下といういでたちで、無口で愛想もないという。女性たちは少なくとも一時期は彼に夢中になっていた時期があったのだろうけど、なぜ惹かれたのかがちょっと不可解。それこそ、ベニチオ・デル・トロとかジョージ・クルーニーとかヴィゴ・モーテンセンとかその辺のちょっと悪そうで絶倫っぽいおっさん俳優の方がイメージ的に合う気がするんだよなあ。彼らの場合、たとえ無口でも「こりゃモテるだろうな…」という説得力があるけど、ビル・マーレイからはそんな匂いがしない。その代り、ちょっと間抜けな彼の行動が本作をコメディたらしめてるというのはあるけど。大体、かつての女性たちに思いを馳せたこととかってないのかなーと不思議に思う。俺だったら、かつての彼女とかなんて牛のように何度も反芻して思い出す気がするけど、ドンファン男はおせっかいな友人にでもそそのかれない限り昔の女を思い出すということがないのだなぁ。

面白かったのは隣に住むおせっかいな友達役のジェフリー・ライト。探偵気取りでかつての彼女たちの現在の住所を調べ上げ、レンタカーで回るためのプランを練り出し、自身お気に入りのエチオピアのCDまでつけてビル・マーレイを追い立てるナイスガイだ。二人の漫才みたいな掛け合いが楽しかった。