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webエンジニアのメモ

「スピリチュアル市場の研究」を読む。

スピリチュアル市場の研究 ―データで読む急拡大マーケットの真実

スピリチュアル市場の研究 ―データで読む急拡大マーケットの真実

スピリチュアルなものに全く興味がないし、あると言っても社会学的な観点で、自分と全く違う思考をする人間をフィールドワークするため位に思っていた。けど、この21世紀、先進国といわれるほど文化的、経済的に成熟した日本社会でも、スピリチュアルな市場が着実に広がっているらしい。本書では、基本的にスピリチュアルな事象に懐疑的な論者から観た市場分析となっており、その「異文化」感が面白い。

例えば、スピリチュアルビジネスにおける重要な品質基準の一つとして的中率がある。

目に見えない世界と言っても、神仏、マスターなど高次のエネルギーから、いわゆる悪霊といわれる低いエネルギーまで、無限の種類やレベルが存在するため、「見えるか見えないか」ではなく、「どのレベルと繋がっているか」が重要となるという。残念ながら俺自身はなかなか高次のレベルへのつながりはないようだけど、うまいロジックだなぁと思う。

また、低いレベルのエネルギーに繋がったヒーラーや占い師でも、本来なら相談する本人が直観的に探索して得なければならないはずの具体的な答えを本人に代わってしてくれるなど、かえって顧客の心をつかむ場合もあるそうだ。この辺は、まるでセルアウトなラブソングを出した元ラッパーのようである。甘いこと言ってる方が人の心をつかむことが出来るのだ。

だが、ヒーラーや占い師の中には、良くなかった人生を特別な能力で埋め合わせしたい、自信のなさや劣等感を補いたいという人もいるらしく、そのような場合、低いエネルギーに繋がりやすいのだという。

また、占いやヒーリングの品質は的中率だけではない。接遇やホスピタリティ、コールドリーディング、仮説構築力なども重要な要素だという。そういった意味でいうと、ホスト的な水商売というか、やはり接客業だなという感じがする。いい悪いは全く別だけど。

読んでいて痺れたフレーズは、「スピリチュアルビジネスには場のエネルギー管理という品質管理が必要であり、一般にはありえない注意点、またはそれに対応するためのノウハウが存在することになる。」とかいうフレーズ。言っちゃなんだが、しょうもないデータで面白い。エネルギー管理なんて一般人からしたら全くわからないし、わかるのは(同レベルのエネルギーを持つ)そっち系の人だけだろう。

「良いエネルギー」だけでなく、「悪いエネルギー」が溜まる場所もあるため、管理が必要になるとのことだが、この仕事に従事する人たちは毎日エネルギー管理しているのだろうか。

他に、面白企業として、台湾のAcerは、マイクロソフトと共同企画した「幸せを呼ぶサーバー潜水術ファイルパスの深宇宙への旅立ち そして宇宙の叡智へ…」という商品を日本でも販売していたらしい。運気を向上させるサーバの置き方を紹介したもので、「タオ(道)の紹介」「魂の自動バックアップ:過去のあらゆるカルマを現実的、実践的、そして具体的に保護することが大切」という項目もあるらしく、SEとしてはぜひ読んでみたいところだ。

他にも、武田製菓の「タマゴボーロ」は同社の工場で、ありがとうと録音されたテープが24時間流されており、出荷するまでの間に100万回の「ありがとう」を聴くことになるという。これってオウム真理教の「修行するぞ」テープに通じるものがあるし、(自由主義だから活動するのは全くやぶさかではないが)、これほどまでに心動かされないニュースもあるものだなあと感心するのだ。

とかなんとか、異文化感が面白かった。