midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

ナニワ金融道」を旧作・新作合わせて読了した。

ナニワ金融道 1

ナニワ金融道 1

無料アプリで読破。傑作だなぁ。青木雄二作品、外れなし。どっかのレビューで「ナニ金とウシジマくんは大人になる前に読んどけ」みたいに書いてあったけど、確かにそう思う。ウシジマくんのモグリの業者ということもあって荒っぽいけど、ナニ金もなかなか読んでいて身につまされるような話は多い。主人公の灰原が金融業界に足を踏み入れた時がちょうど今の自分と同じ年ということもあり、成長物語としても共感して読めた。債務者に共感してしまい強い取り立てが出来なかった灰原が逆に騙され、強く乗り越えていくさまを見ていくのは面白かった。灰原自身、会社員という立場でありながら(ホントは有限責任のはずだが)、融資の際は自分が保証人になったり、逮捕されたり、ヤクザに拉致されたりと危険な目に合いながら仕事をしていて、騙す騙されるが常にひっくり返り、どんどんと強くなっていく姿はカッコいい。

どんなに自分でお金の管理に気をつけていても、家族や周囲の友人が困った相談してくることもあるだろう。善意でそれに答えたことがきっかけで、幸せに過ごしていた家族が強者に絡めとられ、職を失い家を失い家族を失っていく姿は残酷だけどとても教訓になる。

あと、声を大にして言いたいけど、青木雄二、絵が下手とかいうけどその辺の3番煎じの萌え絵書いてる人たちよりよっぽどうまいと思う。キャラクターの書き分けがきっちり出来てるから髪の色をピンクやら緑やらで書き分けるしかないアニメ絵よりよっぽど見やすいし、背景も手を抜かずにきっちり細かいところまで書いていて、猥雑な世界観を表現するのに役立ってるし、読者にとても親切だ。美人は美人だって一目でわかるし、ブスはブスだと一目でわかる。小心者なのか、ずる賢いのか、バカなのか、切れ者なのか、顔の造形ですぐわかるというのはなかなか難しいと思うのだ。そもそも、一目で青木雄二の絵だとわかる時点で強烈な個性だし、すごいこと。漫画界で一級の描写力とはさすがに行かないけど、プロの書き手であることは間違いないと思う。