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webエンジニアのメモ

大村大二郎「悪の税金学」を読む。

悪の税金学

悪の税金学

「悪の」なんてタイトルがついてるけど、別に脱税を勧めてる悪い本ではない。特にサラリーマンに向けて、大きく、「副業で赤字を計上する」「不動産経営をして赤字を計上する」「独立して新しい会社を立ち上げるか、元の会社から業務委託契約を結ぶ」といった合法的な方法で税金を安くする方法を伝授してくれる本だった。

特に著者のサラリーマンへの税に関する知識の低さとそれを啓蒙しようとする意識は高く、典型的な「会社にとりあえずまかせておけばいいっしょ、所得税とか住民税とかよくわからんし、他に興味あることいっぱいあるし」状態だった俺としては頭が下がる思いばかりだった。やはり、国に対して自分の身を守るための方法として、いかに税を払わずにいられるかというのは今後の人生をよりよく生きる意味でも考えておきたいテーマだ。別にフリーライダーになりたいわけではない。不当に搾取されるのはゴメンだし、自分が払った税金とその使われ方に意識を強く持つことはひいては政府をきちんと監視し続けるという行動になるからだ。今回も付箋をつけながら読んでいったけど、俺史上過去最高に付箋使ったかも。無知だった分、それくらい自分の知らなかった制度や仕組みについて知ることが出来た。特に、無知なサラリーマンや社会的に弱い立場の人間から増税し、節税に余念のない金持ちたちから薄く取ろうとするというやり方には改めて怒りをもって読むことができた。まぁ、弱者はルールに従うしかないが強者はルール自体を変更できるから当たり前と言えば当たり前だけどさ。他にも、親の仕事も本書で取り上げられている働き方に近い例もあったので、ちょっと聞いてみたい点もいくつかあり。俺としても、出来ればクリエイチブなこととか副業してみたい気もあるし、ちょっとそういう夢が現実的に描けたことでワクワクした。自宅を事務所として家賃の一部を経費として申請してみたり。

以下、気になった点をまた箇条書きであげていく。制度的な部分はもしかしたら改訂もあるだろうけど、本書が出た2009年度の知識として。

配偶者特別控除の廃止や住民税改正などのドサクサにより、低所得層への増税が行われている。住民税については「所得税を下げてプラマイゼロ」をうたっているが、所得税を下げて住民税を上げることにより、これまでより低所得者に課税される割合が増えている。

・サラリーマンの給料に課税されるようになったのは戦時中であり、選曲が悪化して戦時特別税として会社から天引きさせる源泉徴収方式で取るようになったものが今も続いているもの。もともとはナチスで始められたものを日本に輸入した。

・日本ではあらゆる業界で同業者組合を作ることで規制が行われ、新規参入者には許可がないと参入できないように官公庁に圧力をかけている。力の強い業界は強い政治家と結びつき、税金もふんだんに流れさせて甘い汁を吸い続ける体制となっている。IT関係でベンチャーが成長したのは、規制がゆるかったおかげである。

源泉徴収という会社を通して徴収するシステムのおかげで、逆に税務署はサラリーマンの副業に関して手出しできる範囲が狭い。サラリーマンが節税に励めば、政府からも舐められず、税制の改革を促すことになる。

・税務署という機関は「公平で円滑な税務行政」という名目の元、とにかく税金をなるべく多くとることを最大の目標としているので、税金が安くなるようなことに関しては広報しない。

・民間の個人年金に入ると、税金が安くなる。

・税金と社会保険料を低く出来れば、サラリーマンは実質収入を相当(俺の場合30万くらいか?)上げることができる。また、自営業者と比べて融資を受けることもたやすいため、そのメリットを使ったビジネスができる。それが不動産経営だったりする。しかも、片手間でやってマジで赤字になったとしても、きちんと店子が入って黒字になったとしてもどっちに転んでもおいしい思いができる。また、不動産をもっていればそれだけで資産になるので、年金の代わりにもなる。

・「サラリーマンが副業を事業として申告し、赤字を相殺するというのは、税務当局は想定していなかった」ため、節税に使える。その際のコツは、「事業計画をしっかり作っておく必要がある」「あまりに現実離れした経費計上は危ない」「いったん、申告が通っても過去にさかのぼって修正されることもある」こと。また、役所への税務申告もそれほど難しくはないし、必要でもない。ただ、確定申告は必要になるため、青か白で申告することになる。ちゃんとやれば、青の方が有利。白の場合は、損益計算書を作ればOKだし、所得が300万以内であれば帳簿を付ける義務自体がない。また、事業を始めるときは設備投資や購入品に当てる金額が高く、その場合は消費税の還付になる例があるので忘れずに消費税の課税事業者選択届を出しておく。

・不動産を持つと、資産は増えていくのに税金は減る。

・遺産は現金で残すよりも、土地や建物にしておくほうが有利である。億万長者で、不動産を活用していない人はいないほど。ちなみに、住宅ローン控除(残高の1%が減じられる)という税金の割引制度があり、ローンを組んで家を買えば税金が安くなる。税務署員は住宅ローン控除を当て込んで家を買うというほど、節税効果が高い。

・税務の世界では10、5、3という数字があり、サラリーマンは収入の10割、自営業者は5割、農家は3割しか課税されてないという状態を表す。