midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「彼女たちの売春(ワリキリ)」を読む。

彼女たちの売春(ワリキリ) 社会からの斥力、出会い系の引力

彼女たちの売春(ワリキリ) 社会からの斥力、出会い系の引力

「踊ってはいけない国~」にも記事を寄せていた、荻上チキ氏の単著。論文というほど堅苦しくなく、ルポライター的な文体で読みやすい。そして、巻末についた白書がまた丁寧で素晴らしい。日本全国で売春(ワリキリ)、もしくは自分の性を何らかの形でサービスして生活する女性に丹念に話を聞き、まとめた一冊。面白く読めた。

とにかく、色んな女性の証言が読める。自分の強い意志に基づいて売春を「選択」している女性がいれば、意志薄弱なため、すがるように売春を続けているように見える女性もいる。しかし、彼女たちの声は社会にほとんど届かない。彼女たちをまとめて「だらしない女が自己責任でやってることだろ」と雑な議論をしていい領域ではない。そのような想像力のないただの印象論がまかり通っている現状は悲しいが、自分にも性欲があるし、彼女たちにどうやって会えるのだろうと興味を持ってしまうことも腹ただしい。実際、荻上チキ氏に、インタビューに飽き足らず、「付き合ってよ」と迫る女の子もいたというが、情を持ち込ませず、自分の仕事に徹した意志の強さは見習いたい。