谷崎純一郎の全集を読む。
- 作者: 谷崎潤一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1951/02/02
- メディア: 文庫
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「刺青」が読みたかったんだけど、一番おもしろかったのは「春琴抄」だな。
今読まれるべきツンデレ小説だと思う。キャラ萌えの要素もあるし、盲目のツンデレ美女という設定だけで好きな人にはグっときそうだ。
文体が独特だけど、今読んでも読みにくい文章ではないし、リズムを楽しめたらなお良いと思う。
春琴と佐助の関係性の凄さにびびったり、でもこんな関係性を築けるほどの深さって普通の人生ではありえないだろうなと思ったり。相手のため、自分の目を潰す男を女はどう思うだろうか?そして、晩年やや丸くなって佐助に懐柔的になっても、それでも一身に愛とも服従とも畏怖とも帰依ともとれる態度を示し続けた佐助。プラスマイナスで測りきれない人間の面白さを適切な長さとリズムで描いていると思う。谷崎作品は何冊か読んできたけど、先が楽しみでページを繰る手が止まらなかったのは久々かも。