midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

今日は一日マンガを読むだけだった。

相変わらず欲望に従順で生産的なこと何一つしてないな。

エマ (2) (Beam comix)

エマ (2) (Beam comix)

前からずっと読みたかった「エマ」を読む。予想通りのヒット。

すごく文芸的なマンガな気がする。ストーリーは一言で言っちゃえば身分違いの恋ということで人類史始まって以来100万通りくらいはくりかえされてきたテーマだと思うんだけど、やはり語り方が秀逸。マンガを描く基礎体力が高い。似てるスタイルというわけではないけど、ストレスなくコマを追う気持ちよさが黒田硫黄の作品に近い気がした。間の描き方というかなんと言うか。

7巻で一応一部完結するけど、その長さがすごく良い。多分3時間位で全部読んだと思うが、中篇小説を一本読んだような感触がある。変なサイドストーリーもないし(後で番外編はあるが)、シンプルな筋を魅力的なキャラとオタクっぽい執念が伺えるヴィクトリア調の文化の描き込みと階級社会の権謀術数なんかも織り込みながら、エマとウィリアムの心理描写を中心に物語っていく。それも少女マンガ的な手法と真逆な、リアリズムを追求したすごく抑制の効いた演出で見せる。

連載ものとは思えないくらいまとまりが綺麗だ。無駄なエピソードがほとんどない。

一つだけ好きになれないのが、リアルな描写なのに顔の造型がいかにもマンガちっくなこと。背景や小道具の緻密な書き込みとかと比較するとかなり杜撰で画面から浮いたような顔に見えてしまう。表情の描き方はうまいと思うんだけど、もうちょい面白い顔にしてもいいじゃないかなーと思う。これはプラネテス幸村誠とかも共通で持ってる課題だと思う。せっかく西洋の文芸なり文化に明るいんだから、いくら日本で売ってるとはいえもうちょい日本マンガ的なデフォルメの仕方から脱却できないものかなーと思ってしまう。海外のマンガ家(日本マンガの影響受けてない国とか)の顔の描き方って面白いと思うんだけどなぁ…。

まあでも、読んで人生を変えることはないけど、しっかりエマに感情移入も出来て妙な貴族気分も味わえてすごくおなか一杯になれる素敵なマンガだ。


んで、他にも頑張って読んで見たのが

天上天下 18 (ヤングジャンプコミックス)

天上天下 18 (ヤングジャンプコミックス)

天上天下」ずっと前からデータで持ってたけど何か今ひとつ馴染めず読んでなかった。ただ、久しぶりに読んで見ると「このタイプのマンガの楽しみ方」を知らなかったのかなーと思う。やっぱこの作品って物語としてはさっきのエマと比べるとかなり精度低いと思うし、技名叫びながら戦うとか気がどうのこうのとかジジイ言葉話す女子高生(しかもたまに幼女になる)がいるとか、突っ込みだすと止まらない、リアリティゼロな少年誌っぽいノリに我慢しながら読まなきゃなんないんだけど(決してリアリティがない物語が悪いんじゃなく、読者を作品世界がそこにあると信じ込ませる力が弱いという意味)、B級グルメ的にその辺に意識せず読むと結構楽しめるのだ。何しろバトルシーンの迫力や描写力、バイク初めとしたメカや背景の描写がすごすぎるから、それだけで充分おつりが来る。

要するに表面的な目線で読むと(絵を追うような感じ)すっごく楽しい。絵とか構図をつぶさに眺めてるとどーやったらこう描けるかなーとか考えるし、自分の絵に刺激になる。この読み方は俺の中でバスタードに近い。てか両者とも絵はマンガ家の中でもトップクラスにうまいだろうし、バトルシーンの衝撃波のの描き方とか超似てるし意識してんのかなーと思う。

最初は学園内での部活対抗バトルものということで小日向海流に近いのかなーと思ってたけど、大分毛色が違った。チープな感じだけど中盤意向は過去編に突入して主要な人物たちのドラマが描かれるし、まだ続いてるみたいだけどラスボス倒して終わるんだろう。ただ、基本は描写のために物語があるというスタイル(つきつめるとバキになる)だと思うのでそういう楽しみ方を続けるだろうな。