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webエンジニアのメモ

フリーターにとって「自由」とは何か

フリーターにとって「自由」とは何か

図書館で見つけて結構理論的なとこついてんのかと思って借りたんだけど、何かすっげえ熱い。文芸批評学んでた人らしいけど、そのせいか文体がすごく文芸っぽくてむちゃくちゃ読みにくい。言い回しが気持ち悪くて、フリーターよ、連帯せよ!ってまとめられちゃうんだろうけど、それを何度もなぞるように執拗に繰り返していく。言葉にならない言葉というか、呻きとか意識の問題をこの人は最も見落とせないと思ってるみたいなんだが、その五感で感じたもやもやの立ち上る場所や立場を何度も何度も分析し思考を始める足場を作っていく。参照されてる思想家やら文献も多すぎて把握できん。となるとやっぱりこれってフリーターには「読めない」代物なんだよね。フリーターたちと連帯するために語りかけるような部分もあるんだけど、よく第三世界の貧困で言われるような貧困である人を「発見」するのは必ず金持ち、みたいなとこがやっぱりあって、それを本人も織り込んだ上で書いてるんだろうとは思う。何しろ自分の不満や苛立ちをデリダだのマルクスだのドゥルーズだのを使って説明できないから今の位置にいるのだ。彼自身はスーパーエリートフリーターといっていいだろう。来年の仕事がわからない不安はあるだろうが、なかなかやりがいのある仕事もしているようだし、ライターの仕事もあるみたいだし売れ始めたらどうなるんだろう?あと、資本側とか奴らとか言って強者を敵として認識するのに躍起になってる印象だけど、彼ら自身も自分と同じような構造の肉体を持っていて、彼が第三世界の人々と自分たちの境遇を比べるように強者と彼らも質は違えど苦しさは抱えているのだと思う。大枠で言えばやっぱ人間四苦八苦から逃げられないし生まれたこと自体不幸…みたいなニヒルなとこまで俺はすぐ落ちていっちゃうんだけど、何か読んでて腹が立つ部分もあったので。

前パート1だけ見たんだけど、やっぱもう動物的に子供が泣いてるシーンとかは感動するんだけどさ、全体的な作りが結構雑じゃないかと思う。ダスティン・ホフマンは一度も自身のこれまでの行いを反省したような形式はないし(同僚みたいな女の人と寝たり)、メリル・ストリープはスイーツで情緒不安定な母親に見えるし(いや、声をあげることが出来ない環境に精神的に消耗させられたってのは分かるんだけどさ)子役の子はものすごく演技うまいけど(シャイニングの子みたい)彼の中でいつ父親が変わったのかよくわかんなかった。親子がぶつかりながら次第にコミュニケーションとっていくっていう筋なわけだけど、いつパパ大嫌いから大好きに変わったんだろう。そして一度も彼自身の将来の意向を両親や周囲が聞いてやらなかったことも何か意味深。法廷シーンとかは弁護士が憎憎しげで面白かったけど、ラストも尻切れトンボな感がしなくもない…丸く治めるよりそういう不安定さが逆にリアルなのか?とりあえず時代を感じさせる映画ではあるね。