midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

いやー長くて途中ただ目を通してるみたいな読み方になっちゃったけどなんとか読了。というのも会話のシーンが不自然に長くてやっぱ物語としてはそれほど楽しくないんだよね。シラノのリベルタンとしての思想を遺憾なく発揮してるとは思うんだけど、これもやっぱり当時の思想界を知らないと楽しめない部分が多い。でもその辺は赤木昭三さんって人の訳と解説が絶妙で良かった。この人の解釈が多分に入り込んでるんだろうけど、特に最後のルネッサンス時の思想の見取り図とシラノの座標の確認とかは読んでてためになったし、月でも太陽でも正直冗長な各キャラの台詞回しが多いんだがそれをすっきりとまとめてくれていい仕事してる、という感じだ。もちろん解説にどっぷり乗っかるような読み方はどうかと思うけど、描写自体に魅力のある作品ではないと思うので大いに参考にしていいのではないかと思う。要するにキリスト教文化や神の存在や霊魂なんか嫌いだー!ってのが言いたいがためにこの作品書いたんだろうし。

出世の首 ヴァーチャル短篇集 (角川文庫)

出世の首 ヴァーチャル短篇集 (角川文庫)

一息にこれも読む。星新一っぽいかなー。文は柔らかくて読み易いし、面白いけど内輪ネタが多いかなーという気はする。ヴァーチャル短編集というより文壇批判みたいだ。作家とホステスの話の変奏みたいのが何篇かと、塾批判やら普通の家族の語るメタ物語みたいなのとかっていう構成だけど、どの辺がバーチャルなのかよく分からなかった。そしてシラノとは逆にこっちの解説は最悪というか、本を読まない人の書く書評みたいな感じでつまんなかった。解説ってやっぱ結構大事だよなー。ないならないでいいけど。