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セブン・デイズ・イン・ハバナ [DVD]

セブン・デイズ・イン・ハバナ [DVD]

 

 「セブン・デイズ・イン・ハバナ」を観る。ベニチオ・デル・トロとかギャスパー・ノエとか普段役者している人も含めて、色んな監督によるハバナを舞台とした一週間を1日ごとに各監督が切り取るオムニバス短編集。まとまりはないのだが、キューバハバナの匂いや音とかムワッとくる湿度とかを感じられる感覚的で最高な映画となっている。勿論住む人達には生きる上での疲労困憊はあるんだろうけど、あまり濃厚な政治色や宗教色は打ち出さず、あくまで日常としての美しい景色とかカッコいいキューバのファッションと踊りださずにいられないキューバの音楽に彩られて、めっちゃキューバに行きたくなるという意味でも最高な作品。

どうしても「ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ」を思い起こしてしまうのだが、全編通して音楽が良い。特にパーカッションの生きたリズム感がこの作品の通奏低音となっている。ギャスパー・ノエが監督した木曜日の「儀式」は1週間の中だと、セリフ無しで重厚・崇高な呪術師による所作を楽しめる数十分となっているのだが、この時間もずっとパーカッションが鳴っているのは面白い。現代的なチャラいクラブではヒップホップマナーな重いキックが鳴ったりするんだけど、陽気でいてどことなく哀愁があってたまらない。

そういう意味で個人的には、火曜日のエミール・クストリッツァとタクシー運転手兼トランぺッターの友情が響いた。たまたま会った二人のしょうもないオッサンが、お互いに「こいつしょうもないなぁ…」と思いつつ、意外なところでリンクする感じ。トランぺッターのおっさんの演奏が本当に生々しくて、生活の中で感じるエロスというか艶めかしくてたまらない。個人的には、おっさんに仕方なしに連れてこられるライブ会場での演奏がこの作品のハイライト。水曜日のセシリアというめっちゃ美人のシンガーの女の子の恋愛機微も面白いんだけど、おっさん支店的には火曜日の方がじんわり感じた。全体的にロングの夕日や海のカットが多かったり、あまり演者の顔にフォーカスしない、情緒的でない演出が個人的にハマったのかもしれないが。

見どころとしては、セシリアは歌声含めて本当に美しい。家族関係とか恋愛関係にも悩みつつ、自分にとっての大事な場所や人は何かを問い直して決断を下す。作中での宝石みたいな女性。


映画『セブン・デイズ・イン・ハバナ』予告編