midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「寂しいのはアンタだけじゃない」を読む。

去年の年末に数冊試し読みした吉本浩二作品。特に「ラブ・ウォーズ」が最高にかっこ悪くて楽しくて、久々にマンガをレンタルしてみた。今回は初の試みで、DMMレンタルを利用。「ラブ・ウォーズ」と全く違い、非常にシリアスで作者の真摯で丁寧な考えが伝わるノンフィクションマンガだった。福祉大学出身である作者がひょんなことから触れた聴覚障害を持つ方の知覚をマンガの世界で視覚的に描く意欲作品となっている。その中でも、数年前に世間をにぎわせた佐村河内氏をじっくり取材し、聴覚障害を取り巻く現状の難しさを象徴的に取り上げている。非常に学びの多いマンガだった。

マンガならではの視覚表現が眉唾で、「耳鳴り」を頭の上に飛行機が飛んでいる様子で表現したり、体の横でベースを弾く人がいるという様子で表現したり、当事者が「その通り!」と納得できるような的確な表現を味わうことが出来る。デフ・ジョークというらしいけど、聴覚障害を持つ方の冗談も新鮮で驚いた。すっごい可愛い女性がいたけど、話しかけられない、ナンパが出来ねぇ!とかね。個人的には、小学生の頃に「遥かなる甲子園」という作品を読んだけど、それよりも視覚的な面白さが充実している。また、聴覚障害を持つ当事者だけでなく、医者や支援団体など、様々な立場の人達が抱える問題点を浮き彫りにし、全く知らなかった世界を知ることが出来た。補聴器のあり方一つとっても諸外国とかなり違うというのも学びになった。

物語としては何か分かりやすい答えが出るわけじゃないけど、良作。