midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

海炭市叙景」を観る。

実は「カナリア」を観たときに気になっていた谷村美月が出演していることを知った公開当時から知っていてちょっと気になっていた本作だけど、やっと観た。原作の同作者による「そこのみにて光り輝く」の雰囲気の原点がこの作品なのかなーという感じ。場末で生きる人間たちのほとんど辛いだけの人生を描く作品。だけど、重くて疲れる。「そこのみにて光り輝く」はまだラストシーンに希望があったけど、本作では全くなし。色んなエピソードが細切れになってるけど、どれも鈍く曇った空と寒々しい函館の景色のように痛みだけが残る鑑賞感。リストラが決まった造船会社とか、今にもつぶれそうな掘っ建て小屋とか、うらぶれたプラネタリウムとか、潰れそうな地場のガス会社とか、儲かってなさそうなスナックとか舞台はそんな強烈な生活感が臭い立つところで、傷つけられ、嫉妬し、また人を傷つけてしまう人間たちの生活が少しずつつながりながら描かれる。いい作品だとは思うけど、爽快感は全くない。

役者は皆いい仕事をしていて、特に加瀬亮は良かった。後のアウトレイジに繋がるようなイライラして弱い者に当たり散らすガス会社の若社長を演じていて、「うわっ、こいつと関わりたくねーな」という嫌な感じが凄く出ていて良い。冒頭の谷村美月も貧乏くさくて良かった。