midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

ドント・ブリーズ」を観る。

新文芸坐にて同時に観た「グリーン・ルーム」より遥かに面白かった。デトロイトの郊外に住むあまり恵まれた環境にない高校生くらいの男女3人が、地元を抜けだしてカリフォルニアに移住するために大金を持っていると噂の退役軍人であり、盲目の初老の男の家に強盗に入るというお話。「グリーンルーム」と同じく、荒廃したアメリカの景色はやはり良い。

老人役のスティーヴン・ラングが素晴らしい。劇中の強さも納得の筋骨隆々とした肉体と、光のない哀しみに沈んだ表情がとても印象的。やってることはサイコなんだけど、彼なりのモラルがあって不器用で実直な感じが伝わる。強盗役の少女も「8mile」のエミネムさながらの荒んだ家庭環境と幼い妹を持ち、「ここではないどこか」へ脱出することへの飽くなき執念が凄い。物語としても老人が盲目であるという設定を活かした暗闇デスマッチや殺された仲間を盾に自分の身を守るなどの小ネタが利いており飽きさせない。実体のない幽霊的な怖さとは全く違う、ごつごつした肉体を持った人間同士の殴り合いと攻防が面白い。罪を犯した人間が裁かれないという結末は賛否両論あると思うけど、個人的にはリアルな感じがして重たい余韻が残って楽しめた。