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webエンジニアのメモ

「人事部は見ている」を読む。

人事部は見ている。 日経プレミアシリーズ

人事部は見ている。 日経プレミアシリーズ

そこそこ大きな会社のサラリーマンとして働き始めてもう数年が経ち、常日頃から人事部って奴らはなんてアホなのかと思っている。大事な案件の大事なタイミングで異動がかかり、顧客から不信感を持たれたり、全く適性のない人材を寄越して来たり、5年も稼働しているシステムだと開発当初の担当者が全員入れ替わっており、システムに少なからずブラックボックスの部分が出来ていたりと、あまりにも人事異動に対するデメリットが現場に強く表れており、人材異動による新たな技術の伝播や職場の雰囲気の硬直の緩和といったメリットを感じることがほとんどない。んなもんで、ちょっと気になって読んでみた。

結果、なかなか残念な仕上がりだった。著者は大企業の人事部で実際に働いていた経験を持つ人であり、決して労働社会学やら経済学の研究者ではない。だから、統計的な手法がすごく甘く、すごくバイアスのかかった記述になっていると思われる箇所が多い。確かに、「企業の人事経験者数十人に話を聞いて」などなるべく色んな意見を取り入れようとしているのだろうけど、結局は著者と親しい、もしくはアポを取れる範囲の人間からしか情報を抽出できていない。結果、人事経験者の印象論だけで日本の企業全体の人事部の仕事ぶりを描いているように見える。

まあ、「200人(だったかな、そのくらいの人数)を超える組織だと人事部が必要になる」とか「生産部署から人事部を独立させておくメリットとして、客観的な判断が下せるようになる」とか「社員の異動遍歴だけでその会社でどのように評価されてきたかがわかる」みたいな記述とかは確かに言われてみるとそうかも、位の納得感はあった。緻密な学術書を期待すると肩すかしを受けるけど、サラッと人事経験者のよもやま話として読めばそれなりに面白いかも。