midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

水木しげる悪魔くん」を読む。

悪魔くん (ちくま文庫)

悪魔くん (ちくま文庫)

結構期待はずれな出来。「大きな天才とは精神的奇形児である」というプロローグに惹かれて読んでみたけど、ちょっと尻すぼみな物語になってしまった印象。面白い設定だと思うんだけど、家庭教師役の視点で語られる余計なエピソードとかが多くて散漫になってしまった印象。キリストみたいな博愛精神をもったキリヒトくんなんてキャラなんてもっとうまい使い方出来たんじゃないかと思うけどなぁ。ラストも含めて、ちょっと「デスノート」に近いかなと思った(と思ってググッてみたら、たくさん指摘があって笑った)。「人間以上」の頭脳を持つ人間による理想社会の創造のための奮闘とそれの挫折というか。

まーでもデスノートのライトも悪魔くんもそうだけど、ひとりの人間の意思によって構築される(独裁制)社会なんて理想でもなんでもないけどね。彼らの手法は民主主義の手続きに則った社会の構築ではないけど、目指す先はヒトラーと同じ。硬直した社会は必ず腐敗するし、すべての人間が平等な価値を持てるなんて無理なのだ。