midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「現代美術場外乱闘」を読む。

現代美術場外乱闘

現代美術場外乱闘

「刑務所良品」に続いて都築響一作品を読んでみる。これも面白かった。色んなアウトサイダーアートや人の自由を制限させるようなアーキテクチャ(ホームレスが寝れなくするオブジェとか)とかに混じって、なぜか喫茶ルノアールを紹介してたりして、雑多な内容だけど面白い。特にエロ方面に開花された日本人の異様な創造力の結晶を見てると驚く。大人のおもちゃとか、イメクラやラブホの設備とか。秘宝館なんて設備が一昔は色んな観光地の一スポットとしてあったらしいが、そういうのも初めて知った。それらの作品は、流通や宣伝の仕方次第で、いくらでもポップアートとして現代美術館のガラスばりの向こうに展示されていてもおかしくないクオリティだが、作品がそのような猥雑なところにあるから、アートシーンの外部にいるからという理由でアートとみなされない。その一方で、値段が高いから、アーティストとされている人が作成したからという理由で、作品はアートになり、知った顔の人間によって褒めそやされる。そして、アートシーンに認められなかった作品たちは人目につかないところで生まれ、人目につく機械の少ないまま滅びてゆく。または、権力による規制によって弱体化されていく。著者は、その状況に強く反発し、お膳立てされたアートだけでなく、自分が「面白い」と思うものを積極的にプッシュしている。

アートシーン自体が、そういった「反アート」を飲み込みながらアートとされる領域を拡張していったのが20世紀の大きな特徴だと思うが、自分が面白いと思えるものが残れるような活動をしていかなきゃなと改めて思う。自分の遊び場であるクラブという場や音楽は特に今様々な規制や産業構造の変化によって弱体化させられている。勿論そんな中でも面白い表現はたくさん生まれてきているし、自分としてもそれを追い続けていくつもりだが、外圧に負けずに、好きなものを愛でていける環境を自分でも作っていきたいものだ。