midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

森下くるみ「らふ」を読む。

らふ

らふ

まあ今までたくさんの女優さんにお世話になってきたわけだが、やはり「なぜこの子達はAVの世界に?」という疑問を世の男性諸氏は思うことも多いだろうし、自分もその一人なので興味本位で読んでみた。

この問いに対する答えとしては、晶エリーの「まあ、勢いかな」というのが一番の腑に落ちるポイントだったかなあ。もともと興味があって、タイミングがあって、という。彼女の言葉は「エロ仕事をしてる以上、社会に対して羞恥心を忘れちゃダメだよね」というフレーズも印象的だった。

もちろん本書はそういう点にだけ触れた内容になってるわけではなく、森下くるみによる自分語りも分量が多く、同じ世界に仕事をしている女子同士の趣味の話とか、生い立ちとか、男性関係とか諸々のガールズトークがメイン。まあ、多少なりとも単体女優としても仕事が出来る人たちだし、それなりにクリーンな現場で仕事してるんだろうなというのは伝わってくるんだけど、デビューしてすぐ消える名もない女優さんとかはもっと悲惨な現場にも立ち会ってるだろうし(これは作品内容がハードとかそういうものではなく、プロ意識の違い)、もっと薄暗い世界なんだとは思うけど。実際、短絡的に「お金が欲しくて」、「ブランドものが欲しくて」みたいな意志薄弱な子も結構いるだろうし、それによって成り立つ産業でもあるだろうし。

本書に出ている女優さんは執筆活動や絵を描いたり、またはストリップなど何らかの表現活動の一環としてAVを捉えている子が多くて、悲惨さはそれほど感じない(彼女たち自身、「悲惨なもの」として扱われることに対する違和を語っている)。エロスという自分の関心のあるフィールドで自立して仕事をしている女性、という面が強い。小澤マリアも「AVの方が性に対して真面目」と発言してたし。消費者としてはそうやって割り切った考え方の方が精神的なハードルが低くていいとも思うし。逆にそれじゃつまらない、作品の中では「女優は素をさらけ出して欲しい」という向きもあるかもしれないけどね。

まあでも結局、風俗に行って説教するおっさんと大差ないかもしれないけども、少なくとも彼女や身近な女性にして欲しい仕事ではない、彼女が仕事に対してプライドを持っていたとしても。好きな人なら尚更嫉妬するだろうし。