midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

ちょっと前から見たかった百万円と苦虫女を見る。

感想は空中キャンプのzoot32さんにすごく近い。

問題だらけの家族(仕事バカで過程を省みない父と浮気をうたがう母といじめにあう弟、みたいな)、みたいなデフォルメされた家族像が胡散臭い気がするが、基本的には蒼井優の俳優としてのスキルとリアルな雰囲気で映画を成り立たせてしまえるような良い作品だと思う。なかなか面白かった。

冒頭の、ルームシェアするバイト先の無責任な友人がいい味出してると思う。

後はちょっと知的障害かと思われたピエール瀧が割とかっこいいこと言っててびっくりしたり。

百万円と苦虫女 [DVD]

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ただ、他者との関係をどう繋いでいくか?という点を考えると、主人公のさすらいの姿勢はいかがなものかと思われる。

そりゃ人生生まれた時も死ぬ時も一人で一期一会かも知れんが、ある程度持続的な関係性を持って生きていく人がやっぱり多いもんだ。家族だったり恋人だったり。この世にいる間に、どうやってそういう関係性を築けるかは人生の大きなテーマなのであって、それをどうしても築けない物語として「パリ、テキサス」があると思う。

100万円を稼いで(そもそも100万って女一人で簡単にためられる金じゃないと思うけど…夜の仕事でもしない限り)新たな旅立ちをするよりも、怒られ続けるバイト先から逃げるようにやめるよりも、這いつくばって生きていく活路を見出してほしかったなあ、という気がしないでもない。自分探しではなく、自分から逃げたいんですというセリフが重要になってくると思うが、自分から逃げることが出来ないことくらい十分承知であって、森山未来くんとの関係も、ヴィム・ヴェンダースの「さすらい」のような、一緒にいる時といない時と、ともに交差しあう厚みを持った関係性を築く努力をしても良かったんじゃないかなーとか思った。