midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「バーフバリ2 王の凱旋」を観る。

貴重な友人に勧められて観てみる。いやー面白かった。インド国内の鑑賞記録をあっという間に塗り替えた全世界的なヒット作。物語は「勇者アマレンドラ・バーフバリは、国母シヴァガミから新国王に指名され、麗しく勇敢な姫を妻に迎えることになった。だが王位継承争いに敗れた従兄弟バラーラデーヴァの邪悪な策略により、王の座を奪われた上に、誕生したばかりの息子にも命の危機が及ぶ。愛と正義の名のもとに、バーフバリと妻子は壮絶な運命にのみこまれていく」という紹介に偽りはない。でも、この紹介文じゃ全く作品の魅力が伝わらないという稀有な作品。友人たちと飲みながら、なんなら絶叫しながら見れたのが最高の鑑賞環境だった。

冒頭から一昔前のゲームのCGシーンを抜き出してきたかのような何か違和感だらけのナレーションとヌルっとした映像で始まる。始まってからも、物語、演出、映像、全てが過剰でギラギラでチカチカとけばけばしい。登場人物たちは歌舞伎役者のごとく、目をひんむいて絶叫するように喜怒哀楽を口にする。CGで作りだされた大量の兵士が所せましと動き回り、人体損壊のグロ描写も勿論てんこ盛りで、権謀術数が渦巻く大国の濃厚なドラマがこれでもかと言わん限りに2時間20分にわたって繰り広げられる。お勧めしてくれた友人が「実写版ドラゴンボール」と言っていたのが納得の出来映え。小津安二郎が目指していた映像表現とは真逆。食べ物に例えるなら間違いなく二郎。マンガに例えるなら「刃牙」や「ジョジョ」。音楽ならさしずめヒャダインの楽曲。一番近いと思った映像表現は「マッドマックス・怒りのデス・ロード」とか、「地獄でなぜ悪い」「愛のむきだし」辺りの園子温。主人公のバーフバリはカッコいいだけじゃなく超強いし、姫のデーヴァセーナは芯の強く美しい女性で、献身的な最強奴隷カッタッパなど神話的な超人が跋扈するんだけど、決して「キャラ映画」にならないのがすごいところ。「ダークナイト」で言えば、登場人物が皆ジョーカークラスに濃いのだ。

冷静になって観ると、物語中にカースト制や信仰についての意識を感じさせなかったし、なんなら騎士道精神に基づいた英雄譚になっている辺りが欧米でも受けてるんだろうけど、インド本国ではどんな風にとらえられてるんだろうなと思ったりする。