midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

マーク・ジェイコブス&ルイ・ヴィトン ~モード界の革命児~」を観る。

マーク・ジェイコブスルイ・ヴィトンのデザイナーやってた頃のドキュメンタリー。内容は主要なコレクションの舞台裏とかマーク自身のプライベートとかを切り取ったもの。

正直言って見ててきつかった。マークは計算されつくされたデザインを構築するというより、あてずっぽうで適当にアイデアを切り張りしてデザインしているみたいに見えてしまうし、それに引っ張られて連日徹夜を強いられている可哀想な製作スタッフという風に見えてしまう。コレクションの前日になっても服が出来上がっておらず、アトリエから会場までバイク便で物を運んだりしていたりと、かなりブラック。スタッフとのコミュニケーションは良好そうだけど、こんな職場やだなーと思ってしまった。単純に労働がきついとかいう話ではなく、どんなアウトプットが求められてるのか全然検討がつかないから。

本作で作成されたルイ・ヴィトン新作のバッグは数十個作製して35000ドルで売る予定とのことだが、俺なら10ドルでも要らないような代物。バッグの切れ端やバッグそのものを縦横無尽に縫い合わせたゲテモノみたいなバッグで、使い勝手は最悪だろうし、見た目にもすごくうるさい出来だ。要するに、「金持ちが湯水のようにお金を落とす」ため・浪費するために作られたプロダクトそのものという感じがして悲しくなった。一生懸命スタッフによって縫い上げられたこのバッグは5年後にはゴミ捨て場にうずもれてるか原型を留めてないだろう。生涯大切に使いました、なんて人は絶対にいないと思う。マークは全く市場のニーズを把握して分析しながら作るという方法は取っていなそうだし、自分のプロダクトがどのように使われるかという意識よりも彫刻を作る様な、彼自身が最もそそられる形状をいかに作れるかというような方面にばかり意識がいっているように思えた。「アートの世界の中でファッションは最下層なんだ」的なことも発言していたし、ファッションをハイアートに押し上げたいと考えているのだと思う。

こういうアーティストを見ると、落合陽一のように、社会での位置づけや啓蒙を意識して、最新のテクノロジーを駆使してプロダクトを作成するアーティストの方が面白いよなーと思ってしまう。勿論ファッション界にも面白いファブリックに注目している人達もたくさんいるんだろうけど、彼らは彼らでこういう最高方のモードの世界の人間からしたら異端児扱いされてるんだろうなと思ってしまった。個人的にも伸縮性や防寒性、風通しの良さなど、スポーツ要素のある服が気になっていることもあるしそういうシーンが盛り上がってほしいなぁと思う。