midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

それでも夜は明ける」を観る。

それでも夜は明ける [DVD]

それでも夜は明ける [DVD]

「HUNGAR」で気になったスティーブ・マックイーン監督の作品。「HUNGAR」の方が面白かったけど、本作も楽しめた。1840年代のNYに暮らすヴィオリニストであるソロモン・ノーサップという自由黒人が誘拐され、南部で12年間に渡って奴隷として生き抜いたという実話をもとにした映画。出演もしてるブラッド・ピットが制作も務めている。前作と同じくマイケル・ファスベンダーが怪演してるのもよかった。あと、奴隷を陰で苛めるとことん嫌なやつを演じるポール・ダノも非常に「らしく」て良い。アカデミー賞はじめとして色んな賞を受賞した優秀作。

「HUNGAR」はBGMも会話もほとんどないようなかなりミニマムで研ぎ澄まされた映画だったけど、本作はそのどちらもあって雰囲気は大分異なる。共通点としては長回しと美しい画面。奴隷に対する鞭打ちとか虐待とか痛々しい場面も多いんだけど、アメリカ南部の綿花の広がる夕暮れに佇む主人公の絵とか、テレンス・マリックのような美しさがある。ただ、前作と同じく解釈に苦しむエピソードも多く(例えば、ご主人様の指輪を盗み出して、自分を殺すことを主人公に求める女の子の奴隷のエピソードとか、そのあとムチャクチャ叱られると思うんだけど何も触れられなかったり)、その辺すっきりした方が映画として綺麗になるんじゃないかなーと思った。ただ、全体としては過酷な環境で持ち前の頭脳を駆使してサバイバルする主人公の存在は「ショーシャンクの空に」的なカタルシスがあって人に勧めやすいし、文句なく面白い。