midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

マグノリア」を観る。

ポール・トーマス・アンダーソン監督作。今年はピンチョンの「L.A.ヴァイス」を映画化することで話題になってて、ぜひ観たいと思ってたところ。本作について言うと、ゼア・ウィル・ビー・ブラッドより面白かったかも。L.A.を舞台に、10人を超える罪深きダメ主人公たちの24時間を描いた作品。190分くらいあるけど、全然これも長さを感じない。傑作。

入れ代わり立ち代わりエピソードが挟み込まれるので、最初は登場人物たちがどのような環境に生きる人間なのかを整理するのが大変だけど、1時間くらい立てばどいつもこいつも一癖ある奴らだなーというのが一通り掴める。そして、中盤以降はバラバラだったそれぞれのキャラたちエピソードが徐々につなぎ合わさっていき、クライマックスへと高まる緊張感が描かれ、ジェットコースターの頂点に至るまでのドキドキ感のような心境を味わえる。そして、目を覆いたくなるような衝撃のラスト。あんな大量のアレ、どうやって用意したんだろうか…。最初は意味が分からなかったが、観終わった後調べてみると天罰のような意味があって、作中でも何度か前ふりしてるみたいね。いやー恐れ入った。

たくさんのキャラの中でも、やはり有名どころとその強烈な演技が印象的なのがトム・クルーズだろう。出る作品は大体、顔からして主役!って感じの彼だが、本作みたいな役やるのはほとんどないんじゃないだろうか。アメリカではピックアップアーティストというらしいが、とにかく口が達者で怪しい詐欺師のようなセミナーを主催する男が、徐々に化けの皮が剥がれていき、人間性をむき出しにして嗚咽する様子は見ものだ。正直に言うと全てのキャラたちの謎解きが出来たわけじゃないんだけど、それはそれで変な余韻となっている。新作も楽しみだし、その前に同監督の「パンチドランク・ラブ」をぜひ見てみたいと思うようになった。