midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「ミスト」を観る。

ミスト [Blu-ray]

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後味悪い映画ランキングで常連の本作、宇多丸氏のシネマハスラーでも触れていていつか観てみたいなーと思っていた作品。面白かったけど、傑作とまでは言えないかなぁ。やはり、同監督だと「ショーシャンクの空に」の方が圧倒的に面白い。スーパーマーケットに買出しに出ていた父子が立ち込めた霧によってその場にいた客と一緒に閉じ込められ、迫りくる怪物と戦いながら霧の外へ出ようとするお話。スティーブン・キング原作。

まず、限られた空間に隔離されると人がどのように関係し、作用しあうかをリアルに描いていたのが面白かった。最初は理性的に自分の置かれた環境について冷静に調査、判断し、最善策を取ろうと奮闘する人々が、次々に周囲の人が死にゆくような強いストレスを与えられた結果、人間が少しずつ頼れるよすがを求め、ついに神による赦しを乞う流れにシフトしていく。本作の舞台はアメリカだが、日本の場合は違うかもしれないし、時と場所によって結果は異なるだろうけど、次第に意見の異なる相手との対立が起こり、まるで浅間山荘での内ゲバを観ているような気にさせる。これらをラストまで張りつめた緊張感で描けたのは本作の魅力だと思う。

だけど、残念だったのがまさしくラストシーン。あのラストシーンで絶望感を味わせるなら、もっと八方塞がりで打つ手なし、という状況にならないと生きないと思う。観ていて、「え?そんな方法取らないでも他に色々うまいやり方あるんじゃない?」と思ってしまった。だから最後で絶叫する主人公にちょっと共感できないというか。

後、個人的に気になったのは怪物たちのCGがちょっとお粗末に見えてしまった点。CG感ありありというか、影も重さも汚れもない無機物のようなビジュアルがちょっと違和感あるというか。それと、主人公は映画のポスター描きという職業であるが、これが物語中で何も意味を持たない点。こんな特殊な能力持ってるなら、物語中で「絵描きならでは」の活躍をしないと設定がもったいないと思う。