midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「欲望」を観る。

欲望 [DVD]

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なんか、しばらくは「不条理」と評価される物語を消費するのはよそう、と思えた一本。ハリウッド的に緻密に組み上げたプロットを堪能する方がはるかに楽しいわ。見ても何も心に波紋を残さなかったなぁ。解釈によってはすごく面白い観方が出来るのかもしれないし、原作のコルタサルの小説は面白いのかもしれないけど、見てみた感想としては「つまんねぇ」の一言に尽きるな。

とにかく、イケイケな若手敏腕写真家という主人公の行動が全て行き当たりばったりで何をしたいのかよくわからないし(写真を撮るとき、なぜか靴を脱ぐという変な趣向の持ち主)、物語として起承転結もないし、意味のないエピソードの細切れのような映画。一言で説明すると、「殺人事件を盗み撮りしちゃったと思ったタカビーなカメラマンだけど、実はただの勘違いだったのかも」というお話。ロックファンの中で見どころらしいヤードバーズのライブシーンも、全くと言っていいほど意味がない。主人公は何となくライブハウスに足を運び、なぜかジェフ・ベックがぶっ壊したギターを観客たちと奪い合うが、急にライブハウスから出たら道端にそのギターのきれっぱしを捨てる。モデル志望で写真を撮らせてとせがむ女の子に、今は時間がないんだ!なんてキレておきながら、そのあとすぐになぜか撮影スタジオで服の脱がせあいごっこに興じる。そして我に返った後、明日来やがれ!とかまた急にキレはじめて女の子たちを追い出す。こんなシーンがいつまでも続く。一応セックス・ドラッグ・ロックンロールを描いてるけど、結局そういう断片的な描写のみを描きたかったんだろうか。ラストシーンも不可解で、全く正体不明の顔を白塗りにした若者集団たちが、無言でパントマイムテニスを主人公の目の前で始めて、主人公に目に見えないボールを投げさせるというもの。ごちそうさまでした、二度と見ないです。