midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「日本100大企業の系譜」を読む。

経済音痴を克服したくて読んでみた。なかなか面白かったけど、ちょっと情報量が多すぎてきちんと消化できず。企業名を聞いただけで、ある程度どことどこがくっついて、どんな社風なのか、みたいなイメージが着くようになればもうちょっと経済話を掘り下げてできると思うんだけど、まだちょっと力不足。そして、自分の今の仕事の仕方だけではなかなか知識が広がらない気もするし、定期的にこうやって知識を保管していかなきゃなーと思う。なんで三菱グループの社員はキリンビールしか飲まないのか、みたいな日常的なレベルの疑問をきちんと把握しておきたい。

まず、序章の「10分で読める日本企業の歴史」がかいつまんでいるとは言えなかなかすっきりしてためになる。江戸時代の商人から会社制度が導入される明治時代あたりから現在の財閥の成り立ちを読んでいく辺りはなかなか目からウロコというか人に話してみたくなるトリビア多し。太平洋戦争に向けて財閥の企業体質が直接金融から間接金融にシフトしていき、戦後のメインバンク制の基礎を作ったとか、財閥解体によって巨大企業による市場独占体制が崩れ、ソニーやホンダなどの戦後型企業に躍進のチャンスが与えられたなど。GHQは中国の共産圏拡大を阻止するため、日本を防波堤として機能させるべく、経済を抑圧するより資本主義国として発展させる方向に舵を切り、結果的に財閥解体が骨抜きになったとか。企業取引が固定していく成り立ちもこんな感じらしい。

「たとえば三菱グループキリンビールの売り上げが伸びると、昔は瓶ビールが主流だったから、同じ三菱グループ旭硝子に発注を増やす。もっと売り上げが伸びると設備を増設したり、工場を建設して三菱重工業三菱電機に機器を発注する。三菱自動車の社用車を増やして、東京海上火災保険自動車保険に入る。従業員が増えれば、給与振込のために三菱銀行の銀行口座を作らせ、明治生命保険の生命保険に加入を勧める…」

全てグループ内の受発注で何とかすることで、現金の流出を抑えていたということだ。バブル発生はプラザ合意に端を発しているというのは知っていたけど、これによって急激な円高が促進された結果、日銀は金融緩和により融資を受けやすくする→低金利なので預金から株式や土地に投資する→価格が実体よりも釣り上げられる、という感じで進んだということがわかった。最近の持株会社化の流れも、二つの会社が同じ持株会社の傘下に収まることで合併せずに経営統合を果たすという仕組みであることもわかった。

他、会社ごとに「へー」と思ったトリビア

パナソニックは系列販売店網を持っていたことにより家電メーカーのトップになった。マネシタ電器と言われるほど、二番煎じの商品を販売力で売りまくった。

・ホンダは、本田宗一郎という偉大な創業者を擁しながら、その長男が独立して別企業を立ち上げたため、同族企業の色彩が全くない。

・ロッテは韓国出身の重光武雄が創業し、韓国でも系列企業を持つ。日韓両国にプロ野球団を擁している。

・「二つの西武」の総帥、堤義明(西武鉄道)と堤清二(西武百貨店セゾングループ)は異母兄弟で性格も異なり、不仲が噂されて交流がなかった。弟の義明はプロ野球球団とアイスホッケーチームを持ち、「社員には頭のいい人材など必要ない」と公言する絶対君主。兄の清二は小説家「辻井喬」の顔を持つ文化人。

宝塚歌劇団阪急電鉄の終点、宝塚の温泉地を再開発し、客寄せのために結成された。後に映画興行を手がけ、これが今の東宝の始まりになる。