midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

薔薇の葬列」を観る。

薔薇の葬列 [DVD]

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面白かった。初の松本俊夫監督作品。ちょっと、「これがゲイジュツ映画でござい!」みたいな演出は鼻につくけど、溢れるアイデアをめいっぱい詰め込んで、ドラッグでぶっ飛んでる風景や早回しによるコメディ的なシーンなど(なんと、あのキューブリックの「時計じかけのオレンジ」の早回しは本作にアイデアを得ていたらしい)かなり凝った映像になってるし、今の映画だと割とありがちだけど、現在と過去の出来事を切り刻んで断片的に見せていったり、物語のメイキング風景や演者へのインタビューを物語内に盛り込むメタ物語的な見せ方も当時としてはなかり画期的なんじゃないだろうか。

そして、当時の最先端のファッション、メイクや街並などを切り取っていて記録映画としても楽しめる。主演のピーターは美少女という感じには見づらいし、初出演ということで演技も結構稚拙な感じはあるけど、それでも華奢な体とぱっちりメイクによって変な色気は出ており、なるほどこれで迫られたらちょっとドキっとするかもしれないという完成度。

映像、演出、物語構成など総合的に完成度の高い素晴らしい作品だと思う。結構アホかもしれんけど、ピーターが最終的に自分の店を持たせてくれたパトロンのおっさんとの真の関係を知ったときは衝撃だった。今考えれば結構予想しやすい伏線だとは思うけど、見ているときは気づかず、「あ、なるほど、こう繋がるのね」とかなり感心した。