midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「フェイク」を観る。

ジョニー・デップとアルパチーノのギャング映画という豪華なイメージに惹かれて観てみる。スカーフェイス的な激しいアクションはないけど、なかなか重厚で面白かった。

実在したFBI捜査官であるドニー・ブラスコ(仮名)がマフィアに潜入し、気づかれないように検挙していくんだけど、長くマフィアとしての振る舞いを強制され、マフィアの中にも信頼関係を構築してしまい、また言動が粗野になることで家族とも疎遠になり葛藤する男の物語。

まずは全体の雰囲気がステキ。かかってる音楽が完全にディスコなので70年代後半くらいだろうか、ニューヨークの雰囲気がまず良いし、ジョニー・デップの美しい出で立ち。オールバックにサングラス、ファッションもマフィアっぽくてかっこいい。そして、スカーフェイスみたいな切れ味がないアル・パチーノよりもワルそうで輝いてるのがマイケル・マドセン。いやーいい悪役顔ですな。ナチュラル・ボーン・キラーズウディ・ハレルソンとタメ張れるような素晴らしい佇まい。引き締まってるでもなく、知的でもなく、ただただあくどい雰囲気が最高。

あと、やっぱりこういう感情労働の極北みたいな労働を強いられた時、人間にどういう作用があるんだろうというのは単純に興味が湧いた。劇中でジョニー・デップは家を不在がちなため不仲な妻に、「まるで本当のやくざね」と言われて逆上して張り倒してしまう。まさにその仕草こそがやくざ的であり、ジョニー・デップはその後いい訳も言わず家を出て仕事に出てしまう。言うならば彼は一挙手一投足俳優なのであり、実際に役のまま死ぬ危険すらある。もちろん自分にこんな仕事ができるとは思わないが、やはり外見や振る舞いを真似ていくことで、いつの間にか人間は自分で制御できない部分で自分を再構築できてしまうんだなぁと感慨深かった。