midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

[映画]

ウィンターズ・ボーン」を観る。

素晴らしい!ここ最近で一番のヒットだ。アメリカの田舎のダークでリアルな生活を乾いた演出で描く。

主人公はまだ17歳になる女の子だが、満足な教育も受けられず、犯罪で生計を立てムショに行ってしまった父と、ヘビーな生活に耐えられず精神を病んでしまった母と幼い兄弟を支えて暮らす。気丈にふるまうけれども、消えた父を捜さなければ家まで差し押さえられてしまうという状況になり、家族を守るためにドラッグで生計を立てる共同体の忌まわしい大人たちに挑んでいく。

主人公の子が美人過ぎないのがまたリアルで、ふと言葉の通じない母に対して強張った表情のまま助けを求めて流す涙がすごく印象的。BGMもほとんどなく、サイドストーリーもない整った構成の物語と、感傷的にならずに淡々と進行する物語が好み。「ある子供」や「息子のまなざし」のダルデンヌ兄弟の作品に通じるところがあるかもね。

脇を固めるキャラも魅力的で、ヤク中で凶暴なおじさんが事件に嗅ぎまわる主人公に仕方なく力を貸し、大立ち回りを演じるのはカッコ良かったし、地元の有力者たちの凄みのある出で立ちもリアル。幼い弟が連れて行かれる姉ちゃんを守ろうとするシーンはいじらしいし、銃で仕留めたリスをさばくのを嫌がる弟に「やらなきゃいけないことがたくさんあるんだ」とナイフを入れさせる主人公も重みがあって良かった。最後に少し希望を感じる幼い兄弟たちを抱き寄せるシーンも秀逸で、これはぜひみんな観るべき。