midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

最近読んだ音楽関係の本。

かなり面白かった。

音楽を言葉で語る、という音楽評論の形式ではこれまでの読書体験で一番面白かったかもしれない。

ロッキンオン・ジャパン的な、3万字インタビュー的な「アーティスト単位」で音楽を批評するスタイルがいつの間にか主流になっているんじゃないかと思うんだけど、そーいう人間のドラマ自体ではなく、音を分析した批評を読んでみたいなーとは思っていた。本作は東大での一年間の講義を編集したものだけど、刺激的な話が多くて、これまで考えていたけど言葉に表せなかったモヤモヤを、菊地成孔の豊富な語彙による的確なリードである程度はらし、頭の中を整理できた。

特にブルースの反復的な音が今日のダンスミュージックの構造にどう影響してるだとか、踊れないジャズとしてのモダンジャズ~といったくだりなんかはジャズ史の流れを音の特徴として知ることも出来てずいぶんと整理されたと思う。ジャズをジャズ喫茶なんかに行って、スピーカーの前で眉間にしわ寄せて黙って聞くようになった経緯ってのもなんとなくわかったしね。どーやらコルトレーンせいらしい。

もちろん音楽なんて実際に聞かなきゃ分からんのは大前提だけど、音楽観をアップデートするいい機会になった。