midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「コップ・カー」を観る。

空中キャンプ氏が褒めていたのを覚えていて観たかった映画がamazonプライムになったので観てみた。拍子抜けするくらいシンプルで、かつ繊細で面白い。ほとんど雑味のない一番出汁の椀物を喉に通すような感触というか。話の筋がシンプルというだけでなく、BGMもほとんどなく、説明的なセリフ、情景描写も極めて薄く、ほんのり匂わせるような演出も好み。90分というすっきりとした短さや後味の良さもあって「いい映画だなぁ」と思える。

物語自体は大好きなアメリカのド田舎モノ映画で、コーエン兄弟でも特に大好きな映画「バーバー」とか「ファーゴ」にちょっと近い、何か笑えるクライムムービー。いかにも悪者っぽい悪徳保安官をケヴィン・ベーコンが演じる。主人公の子役二人はどっちもやんちゃで強がりで臆病でとても可愛い。悪いことをして痛い目を見てちょっと成長するというビルドゥングスロマンな側面もある。空中キャンプ氏は「父親不在の家庭に育った少年たちは「父親的なもの」から逃げているが、ケヴィン・ベーコンという父親的な存在と対峙することになるアメリカ的な映画」と分析していてなるほどなーと思った。とにかく地味だから賞レースとかには全然絡まなかったんだろうけど、良作だった。