midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「黒い太陽七三一」を観る。

リンクは2だけど観たのは1。まだ暑かった先月、なんとなく戦争を振り返る気分になってこの問題作を観てみた。海外だと思想性やドキュメンタリー性を全く評価されないただのB級グロ映画として扱われてるっぽいし、何より自分の母親もグロ見たさで「悪魔の飽食」読んでた口なので色物感は強かったんだけど、思ったより古くない(1988年作)し残虐描写も金かけてしっかり撮ってるなぁと感心した。知る人は知っている、太平洋戦争時に中国で、捕虜の中国人やロシア人を丸太と呼び、細菌兵器を作るべく人体実験を繰り返してきていた731部隊の所業を映像化し、犠牲者を追悼する作品。

色んな評価のある事象だけど、基本はやっぱり日本軍、悪いことしてたんだろう、と思っている。見つかることを恐れて第一次資料を積極的に廃棄してしまった本件のような第一次資料のない事象はどうしても被害者や加害者の証言からしか事象を後から評価できないし、それぞれの立場によって同じ事象の見え方も事実もねじ曲がってしまうから大分ゆがめられているとは思うけど、本作に描かれることと近いことが行われていたのは事実なんだろうと思う。人間を吹雪に体をさらして凍傷にしたり、ガス室送りにしたり、生きたまま解剖したり、それらは道徳的には赦されないが、戦争状態であることを加味すると加害者たちすべて個々に責任があるとも言いづらい(アイヒマンと同じく)。要は戦争という外交手段しかなかった国が基本的には悪いと思うから、一度は国としてきちんと謝罪し賠償することが必要だと思うけど、被害者やその家族は亡くしたものを取り戻すことは出来ず、結局とうてい納得いかない。かと言って何度も謝罪を要求し続ける外交というのも国同士の関係としては相応しくないと思うので、加害者の国は(その成員はすでに加害者の子供、孫になっているかもしれないけど)きちんと被害者の国の証言に耳を傾けつつ(とは言え、謝罪し続ける外交は間違っていると思う)、同じ過ちを繰り返さないように理性を持って対話し、被害者に納得してもらえるある行動(謝罪とか賠償金支払以外に)をするしかないんじゃなかろうか。