midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

ヘイル、シーザー!」を観る。

コーエン兄弟の作品はほとんど観てるつもりでいたが、意外とノータッチだったこの映画。観てみて、面白いんだけどちょっとマニアックだし地味かなぁと。「ノーカントリー」的な息を継ぐ暇もないような恐ろしさもないし、「ファーゴ」や「バーバー」的な凡人が大変な事件に巻き込まれていく、みたいな意地の悪い面白さとも違くて、いうならば監督自身の映画へのオマージュ的な映画。ハリウッド映画というここ100年未満で積み上げた偉大な文化の素晴らしさをリスぺクト、という内容。出演陣は豪華で、ジョシュ・ブローリンやらジョージ・クルーニーやらスカヨハやらジョナ・ヒルやらティルダ・スウィントンやらチャニング・テイタムやら切りがないんだけど、映画人である彼らが持つ様々なトラブルをジョシュ・ブローリン演じる「何でも屋」が同時並行で片づけていくというお話。登場人物は皆モデルがいるらしく、その辺の知識にうといと監督が何をリスペクトしているのかが伝わりづらく、ちょっと損してしまう。何も知らなくてもそれらの往年の映画を模した素晴らしい映像を観るだけでも楽しめるっちゃ楽しめるけど、全力で楽しむにはいろいろと予備知識がいる。物語の核となる赤狩りで仕事を追われたコミュニスト達の描写も若い人は何のこっちゃって感じだろうし(個人的には「ウディ・アレンのザ・フロント」を思い出した。この記憶の参照元ですら本作より以前の「映画」という形式だしね)。

最後は問題が全て片付いてちゃんちゃん、で終わるんだけど、笑いどころも少なめに感じたし(ジョージ・クルーニーが水未脈を飲むくだりはベタだけど笑った)、コーエン作品としてはあまり人に勧めづらいかなぁという出来。