midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「私の男」を観る。

面白かった。観終わった後も余韻で色々考えてしまった。北海道の奥尻で起こった大地震で家族を失った少女が、遠縁の男に引き取られ、二人で寄り添うように暮らしているが人に言えない重大な秘密を持っており…、というお話。二階堂ふみ浅野忠信主演。

途中の濡れ場のシーンでちょっと幻想的な演出が入るほかは、ドキュメンタリーちっくなリアリティのある映像で魅せる。寒々とした北海道の風景と、東京に追われてからのそれなりに華やかな生活との雰囲気の違いがくっきりしており(カメラも変えているらしい)、生活感あふれる小汚い家の描写とかもとてもリアルである。二階堂ふみは相変わらず達者。ギラギラした魔性感が感じられて最高で、力の抜けきった浅野忠信より全然うまいと思った。最初は父がリードしていたのに、関係性が段々と娘にリードを奪われ、廃人のように追い込まれていく様は「痴人の愛」を思わせる。そして、凍てついた北海道という環境だからこそ、こういう閉鎖的で共依存的な関係性が人知れずに育ってしまうんだろうなと思わせる説得力。親子の関係性なんてそれこそ親子の数だけあってそれぞれ違うけど、こんな関係も勿論あり得るし、単純に法や倫理の観点からでは裁けないことだと思う(劇中で二人が起こした殺人は勿論罪だけど)。