midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

ラルジャン」を観る。

ラルジャン [DVD]

ラルジャン [DVD]

最寄りの図書館にブレッソン監督作品が充実してるため観てみた一本。ラルジャン(現金)にまつわるふとしたことで坂から転げ落ちるようにどんどん人生を踏み外していく青年を中心に描いた物語(書いてて気づいたけど、コーエン兄弟の「バーバー」に通じるところがあるなあ)。

扱ってる題材は面白いしストーリーも面白いんだけど、監督の言う画面構成へのこだわりや抑制したセリフとかどうもなじまないんだよなあ。「少女ムシェット」やら「バルタザールどこへいく」でもそうだったけど。

緊張感がない。画面構成も「絵画的な画面を作りたいわけじゃない」的なことをインタビューで答えてるけど、そのせいか目に焼きつくような印象的な画面というのがあまりないし、俳優たちはアクションがすごく小さくて声も小さくて、過剰な演技を徹底的に排した、というよりもかえってお遊戯っぽく見える。

大声を張り上げておかしくない場面でも、暴れまわって人を傷つけるときでも、酔いつぶれている時でもいつでも冷静に見える。BGMもないからシーンの雰囲気を盛り上げることもないし、非常に淡泊で、結果的に味気ない作品になってる。

過剰な演出を抑えた作風のダルデンヌ兄弟と比べると、圧倒的にリアリティが薄い。ヒリヒリするほど張りつめた空気が、ストーリー的にそうであろう場面からも感じられない。

うーん、肌に合わないなあ。