midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

「Engineers in VOYAGE 事業をエンジニアリングする技術者たち」を読む。

前職の転職活動中くらいからpodcacstとしてajitoFMを聴いているのだが、あまり会社としてのVOYAGEグループや事業を知らなかった。

ajito.fm

今回、さらに別のpodcacstとして良く聴いているSecure Liaisonにて良書と紹介されていたので読んでみた。

open.spotify.com

 

タイトル通りエンジニアと事業にフォーカスされていて純粋な技術書では無いが、泥臭くエモい話が満載で面白かった。全編通して、技術ありきでものを考えるのではなく、ビジネス上の、顧客の課題解決のために手段として技術を捉える習慣を紹介していて、当たり前のようで結構現場レベルだと徹底できていそうにないことを改めて振り返ってみたりした。

新しい技術的な知見や実装ってとりあえず試してみたくなるし、アンテナを貼っておくことは正しいと思うけど、ビジネス上の課題解決手段として正しいかは微妙な面も多いということが最近分かってきた。組織にとって何が最適かという話でもあるが、ゴリゴリに新しい技術を投入するとバグがあったりノウハウが溜まるまでのメンテナンスが大変だったり、十分な知見を持つメンバーが限られていたりして結果的にビジネスを成長させる手段として正しいかというと微妙な時がある。とあるAWSのマネージドサービスのserverless版が出たのでメリットありそうだと踏んで導入してみたものの、割に合わないのでサーバを建てる運用に戻したみたいな例が身近にあったり。

また、本書では「葬り」と言って長年運用していたサービスのうち、使われていない単位で事業レベル、機能レベルなどで切り捨てていった話の紹介がある。使っているのか分からないコードやDBのテーブルも削減してダイエットしていくような話なのだが、これも身近で似たようなサービスの運用に携わっていたので色々と共感できた。

あとは逆に、機械学習のモデルを使って広告のDSPの入札ロジックなど最適化のためにオークション理論が関連する領域などで、顧客からマージンを取るビジネスだと適切な入札戦略が描けないというような話も面白かった。何となく関係者にとってwin-winだろうと思って設定したビジネスモデルが突き詰めると必ずしもwin-winではないみたいな局面は他にもあるんだろうなという感じ。