midnight in a perfect world

webエンジニアのメモ

unix考古学」を読む。

技術書ではなく、UNIX創世記についてケン・トンプソンやデニス・リッチーを中心に関係者の証言や公式文書などからまとめたもの。派生してオープンソースやインターネットやC言語、ハードウェアとしてのコンピュータ自体の歴史についても学べる。資料の集め方が研究者的で知的誠実さを感じ、読んでいてめちゃくちゃ面白かった。

単に技術的な話に止まらず、1960年代から遡ってアメリカの当時の社会的な状況やAT&TバークレーやMITなどの大学といった工学系エリートたちの関連だったり、大学内のチームメイトや先輩後輩の関係だったり対立だったり人間臭い話も知ることが出来る。開発予算確保のために別の名目で研究成果を出しつつちゃっかりOSの開発もやってたみたいなこぼれ話も良い。ARPAがインターネットの始祖ということは知ってたけど、ロシアとの冷戦の対抗(スプートニクショック)としてNASAと同時期に出来たというのも初めて知った。誰かに語りたくなる蘊蓄がたくさん入った良書。